難問・珍問Q&A
勘違いした農薬名
“パスワード”について教えて下さい。

「えっ! むやみやたらと教えられないものですが…」
相手「(沈黙)…農薬のパスワードですが…」
ネット・アクセスに失敗した直後の問合せです。
大切で欠かせないものとの意味合いを込めての命名でしょう。"悪用されないように注意する"とはラベルに記載してないと思いますが、この名前を始め"パスポート"、"ダイマジン"など、新発売当時には勘違いを生ずることもありました。
パスワード顆粒水和剤は、日本バイエルアグロケム開発の果樹用殺菌剤(一般名:フェンヘキサミド)

よく似た名前
「…トリンという成分の農薬を教えて下さい」

商品名で紛らわしいものは少ないが、一般名では同系統の化合物に似た名前があります。
殺虫剤のうち合成ピレスロイド剤に区分されるものに、…トリンというものが多くみられます。( )内は商品名
- アクリナトリン(アーデント)
- シクロプロトリン(シクロサール)
- シハロトリン(サイハロン)
- シフルトリン(バイスロイド)
- シペルメトリン(アグロスリン)
- テフルトリン(フォース)
- トラロメトリン(スカウト)
- ビフェントリン(テルスター)
- フェンプロパトリン(ロディー)
- ペルメトリン(アディオン)
- レスメトリン(カダン)
除草剤には、
等もあります。
…ゾール、またはコナゾールと付くものもたくさんあります。
殺菌剤のうちエルゴステロール阻害剤(EBI剤)を主体に、
- イプコナゾール(テクリード)
- イミベンコナゾール(マネージ)
- エクロメゾール(パンソイル)
- ジフェノコナゾール(スコア、プランダム)
- シプロコナゾール(アルト)
- チアベンタゾール(ビオガード)
- テトラコナゾール(サルバトーレ)
- テブコナゾール(シルバキュア)
- トリシクラゾール(ビーム)
- トリフミゾール(トリフミン)
- ヒメキサゾール(タチガレン)
- プロピコナゾール(チルト)
- ヘキサコナゾール(アンビル)
植物成長調節剤に
- ウニコナゾール(スミセブン、ロミカ)
- パクロブトラゾール(バウンティー、スマレクト)
…カルブと付く薬剤名
殺虫剤には、
- アラニカルブ(オリオン)
- エチオフェンカルブ(アリルメート)
- オルソベンカルブ(ボレロン)
- チオジカルブ(ラービン)
- フェノチオカルブ(パノコン)
- ベンフラカルブ(オンコル)
殺菌剤には、
除草剤には、
- エスプロカルブ(コントラスト、フジグラス)
- オルソフェンカルブ(ボレロン)
など
頭が痛くなります。
気分をあらため、薬剤の効能とは別のものを感ずる名前を紹介しましょう。
- エンストリップ(オンシツツヤコバチ剤)
- ホルモチオン(アンチオ)
- マンコゼブ(マンゼブ)
- ベンジルアミノプリン(ビーエー)
等。

これは同じ薬剤
「ジコホルはケルセンと同じですか?」

農薬の名前には、商品名の他、化学名、それを簡略した一般名で記載されることがよくみられます。特に、各種基準値・指針値では、一般名が用いられますが、国内で農薬登録時に付けられる名称と、ISO(国際標準規格)名とが異なるものがあります。
質問にみられるように、同じものが異なる呼び方の代表的なものを紹介します。
前者がISO(国内名)です。
殺虫剤
- ジスルホトン(エチルチオメトン)
- メタムアンモニウム塩(カーバム)
- キノメチオナート(キノキサリン系)
- ジコホル(ケルセン)
- プロモプロピレート(フェニソブロモレート)
- エンドスルファン(ベンゾエピン)
- フェノブカルブ(BPMC)
- プロパルギット(BPPS)
- ナレッド(BRP)
- テトラクロルビンホス(CVMP)
- クロルフェンビンホス(CVP)
- シアノホス(CYAP)
- ジクロルボス(DDVP)
- トリクロルホン(DEP)
- メチダチオン(DMTP)
- フェニトロチオン(MEP)
- イソプロカルブ(MIPC)
- フェンチオン(MPP)
- カルバリル(NAC)
- フェントエート(PAP)
- プロポキスル(PHC)
- ホスメット(PMP)
殺菌剤
- アニラジン(トリアジン)
- マンコゼブ(マンゼブ)
- オキシン銅(有機銅)
- ジノカップ(DPC)
- エジフェンホス(EDDP)
- イプロベンホス(IBP)
- キントゼン(PCNB)
- クロロタロニル(TPN)
除草剤
- フルプロパネートナトリウム塩(テトラピオン)
- ピラゾリネート(ピラゾレート)
- MCPAチオエチル(フェノチオール)
- ベンフルラリン(ベスロジン)
- シマジン(CAT)
- ジクロベニル(DBN)
- クロルチアミド(DCBN)
- ジウロン(DCMU)
- プロパニル(DCPA)
- クロルプロファム(IPC)
- メコプロップ(MCPP)
- ジカンバ(MDBA)
- クロリダゾン(PAC)
- ベンスリド(SAP)
- クロルタールジメチル(TCTP)

クラシック農薬の魅力
「“カゼイン石灰”と“デリスコ”の製造会社名を教えて下さい」

除虫菊製剤なども含め戦前に大活躍した薬剤です。今は忘れられた農薬?と思っていましたら、これがヒットして品薄とか。効き目は速効性か遅効性か?などの質問も含めて、有機栽培に取り組んでいる方からと推定される問合せが増えています。
昨今、デジタルカメラ(デジカメ)が売れる一方、今は製造してないクラッシクカメラ(中古品)がブームとか。この要因は、現行の全て自動的にやってくれるものは物足らなく、操作に手のかかるところが趣味人にとって魅力を感じさせることにあるようです。
調合や使い方が難しい、成果が上がると格段の喜びが感じられるなど、今の化学合成農薬にない素朴で人間性を感じさせる?“クラッシク農薬”のもつ魅力は、生物農薬などとともに、将来の農薬の目指すポイントの1つかもしれません。

水田除草が効かなくなった
水田除草剤は何を使ったら良いのか?

水田用には100種を超える除草剤が市販され、百花繚乱といえる状態のなか、何を選んだら良いのか迷っての質問かと思いましたが、(どれがいいのかは答え難く、立場上いつも苦慮しています)。昔は良く効いたが今の薬は効き目が悪い、とのこと。
水管理と使用時期さえ気をつければ大丈夫。昔のように均一に散布しなくても、また、田んぼに入らずに使える省力性を優先した除草剤の増えたことが、効果不足の原因になっているようです。水尻から流れ出るなど田水の移動がある状態では、薬剤の拡散も片寄りしやすく、止水をしっかりしないと効果不足になります。

喝!不親切な表示
この薬の使い方が分からない。どのように使うのか?

希釈方法、散布時期など、ラベルに記載した事項がよく分からないとの質問が多くあります。
“1000倍に希釈するには”等から始まり、初めて使う方には難しいと思われる使用方法が記載されていることがあります。特に、土壌処理剤には難しいとの指摘がみられます。
(例)
- 作条土壌混和
- 移植前 10a当り 5〜10kg
- 植溝土壌混和
- 植付時 10a当り 10kg
- 雨落ち部土壌混和
- 成虫飛来初期 10a当り 9kg
- 株元土壌混和
- みかん(収穫120日前まで) 10a当り 40kg


- 03-5209-2512